水玉共和国通信

デジタル版が一冊の本になること、そして、その意味合い。

2015 年 8 月 7 日(金) 『進撃の巨人』17 巻限定版として、関西弁版が、書籍化して本屋さんに並びました。

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デジタル屋としては、とても感慨深い。

何より、ルビがめっちゃ読みやすい。

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関西弁版プロモーションについて、まとめます。

2015 年 3 月、15 巻と 16 巻の間のプロモーションとして、進撃の巨人 完成弁版を LINE マンガや Amazon Kindle などの電子版として無料配信しました。

このプロモーションは、NAVER まとめになったり、Yahoo! のリアルタイム検索で話題のキーワードになるなど、なかなかの初速と伸びを記録。

<NAVER まとめ>
おもろすぎw進撃の巨人の関西弁バージョンがカオスすぎるwww

ユーザーの方々には無料のコンテンツを提供することで、楽しんでもらいつつも
広告業界からは、「アホなことやっとるなー」と、冷ややかな目を向けられていたことでしょう。

しかし、このプロモーション、めっちゃ結果出てまんねん。


<AdGang>
こちら、AdGang による、担当編集の川窪慎太郎さんのインタビュー

<抜粋>
—実際に、売り上げにも繋がりましたか?

既刊の売り上げが対前月比 250%(150% 増)となりました。

AdGang 文中にもあるように、このプロモーションは、15 巻と 16 巻の端境期の盛り上げ施策です。
具体的に何か、ネタがあるのではなく、盛り上げるネタを考えるところから、編集部、宣伝部の方々と何度も打ち合わせを重ねながら、企画に仕上げていきました。

手法を決めるまえにやったことは、MISSION の整理です。

【Mission】
『進撃の巨人』は 4200 万部を売り上げる大ヒットコミックではありますが、コミックの売上はやや停滞気味であった。
そこで、さらなる新規読者層開拓のため、以下のふたつのターゲット層に向けた PR を展開が必要でした。

  1. タイトルは認知しているが未読
  2. 途中で読まなくなった離脱者

未読者層がまだ手に取らない要因としては、「なんだか怖そう」「グロいんじゃないの?」といった先入観による食わず嫌いが考えられました。

作品は魅力的で、どんな形でも1巻をまずは読んでもらえれば新規読者の獲得につながるはず..。
そこで、まずは未読者層に親近感をもってもらうため、コミック1巻のセリフのみを関西弁に翻訳。

特設サイトで無料公開しました。
さらにタッチポイントを拡げるため、各主要電子書籍サイトを通じても無料配信。
LINEまんがでは読んだ人にキャラクターのスタンプをプレゼントしました。

単純に関西弁に翻訳するだけではなく、関西人だけが分かるローカルネタを随所に盛り込み自分事化。
ツッコミ要素をあえて多く盛り込むことで、SNS によるシェア・二次創作などの拡がりを狙いました。

【Result】

  • 2,000,000 ダウンロード
  • 関連 Tweet は、130,000 件
  • めざましテレビなど情報番組でも話題に..。
  • 既刊 1 巻~ 15 巻の売上が 250% 向上

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そして、そんな、熱い読者の皆さんの反応にお応えする形として、編集部が、書籍化を断行してくれました。これは、作り手としても、一人のファンとしても嬉しい限りです。

このプロモーションが海外アワードで評価される事は絶対にないし、国内の ACC などのアワードですら見向きもされない可能性が高いです。

しかし、デジタルのクリエーターと、出版社の編集部が、広告 PR を考えれば、これだけのコンテンツを生み出す事もできます。

メディアの力を最初から使うのではなく、ユーザーや読者と共に、作品の世界観を楽しみ、そして、その盛り上がりを、メディアに取り上げてもらうという手法です。

コンテンツの世界は奥が深く、我々のようなクソ広告クリエーターが、手をつけると、作品の繊細な世界を壊してしまう恐れもあり簡単には手を出せない世界です。

しかし、作品への愛を持って、作者や編集者の皆さんと対話をすることで、新しいコンテンツを世に送り出せることもあります。

これが、まさに二次創作ワールドの楽しさです。

音楽も映像もキャラクターも、同じような遊びがありえるかと思います。

オールスタッフクレジット

2015.8.11